テレビは本当に「オワコン」なのか?高齢者の視聴行動データから読み解くインフォマーシャルCM枠の価値
目次
- テレビメディアの現状|若年層の離反と高齢者層の強固な支持という二極化
- 若年層のテレビ離れ|10代・20代の視聴実態
- 高齢者層の強固な支持|65歳以上の7割が「生活に欠かせない」と回答
- テレビの二極化が意味するもの|衰退ではなく「視聴者層の明確化」
- データで見る高齢者のテレビ視聴行動|パナソニック調査から読み解く実態
- 視聴時間|半数以上が1日3時間以上、約1割が7時間以上
- 視聴目的と番組ジャンル|情報収集と娯楽の両軸で機能
- 動画配信サービスの浸透|テレビを「デバイス」として使いこなす高齢者像
- BS・CSチャンネルのインフォマーシャルCM枠が持つ独自の価値
- 懐かしいコンテンツが集める高齢者の視聴集中
- 人気番組前後のCM枠が生む高い反響力
- 業界内で語られるエピソード|外部要因による視聴者移動の影響
- まとめ|高齢者マーケティングにおけるテレビの不可欠性とBS・CS枠の戦略的活用
この記事で分かること
テレビ視聴が若年層と高齢者層で二極化している現状
高齢者にとってテレビが依然として重要な情報媒体である理由
BS・CSのインフォマーシャル枠が高齢者向け広告に有効な理由
テレビは「オワコン(終わったコンテンツ)」である──YouTube、Netflix、TVerといったネット動画の急成長を背景に、こうした見方はもはや常識のように語られるようになりました。確かに、地上波テレビの広告収益は減少傾向にあり、視聴率の低下に伴って番組制作費が削られ、魅力的なコンテンツが減ることでさらに視聴者が離れるという負のスパイラルが指摘されています。
しかし、「テレビは終わった」という一面的な評価だけでマーケティング戦略の判断を下すのは早計です。テレビの視聴実態をデータに基づいて精査すると、若年層の離反が進む一方で、高齢者層からの支持は驚くほど強固であるという明確な二極化の構造が浮かび上がります。
コラム「インフォマーシャルとは?」では、インフォマーシャルの定義や種類、最新の活用事例を解説しました。
本記事では、インフォマーシャルを投下する「場」であるテレビメディアの現状を客観的なデータで整理し、特にBS・CSチャンネルのインフォマーシャルCM枠が高齢者マーケティングにおいて持つ独自の価値を掘り下げます。
テレビメディアの現状|若年層の離反と高齢者層の強固な支持という二極化
テレビの視聴実態は「全体的な衰退」ではなく、「世代間の二極化」として捉えるのが正確です。この構造を理解することが、テレビ広告を活用すべきか否か、活用するならどのチャンネルとどの時間帯に投下すべきかという判断の出発点となります。
若年層のテレビ離れ|10代・20代の視聴実態
総務省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」をはじめとする複数の調査データは、10代・20代のテレビ離れが加速している実態を鮮明に示しています。10代と20代のテレビ視聴時間は年々減少傾向にあり、1日のメディア利用時間におけるインターネットの占有率がテレビを大きく上回る状態が定着しています。
さらに、単身の若年世帯ではテレビ受像機そのものの保有率も低下しており、テレビを「持っていない」という状態が一定の割合にまで広がっています。若年層にとってテレビは、もはや情報収集や娯楽の主要なチャネルではなくなりつつあるのが現実です。
高齢者層の強固な支持|65歳以上の7割が「生活に欠かせない」と回答
若年層の離反とは対照的に、高齢者層のテレビへの依存度と信頼は極めて高い水準を維持しています。パナソニック株式会社が関東圏・関西圏の65歳〜89歳の男女1,400人を対象に実施したテレビ視聴に関する意識調査(2025年8月実施)によると、テレビは日々の生活においてどのような存在かという問いに対し、「毎日の生活に欠かせない存在」と回答した人が72.3%に達しました。
テレビ視聴の主な目的
「ニュースや時事情報の収集」が94.0%と圧倒的に高く、「天気・防災情報の収集」が84.3%、「娯楽や気分転換のため」が63.0%と続いています。
この結果は、テレビが高齢者にとって単なる娯楽装置ではなく、日々の生活を支える情報インフラとしての役割を果たしていることを明確に示しています。
テレビの二極化が意味するもの|衰退ではなく「視聴者層の明確化」
この二極化の構造をマーケティングの観点から読み解くと、テレビの「衰退」ではなく、テレビが届く「視聴者層の明確化」が進んでいるという解釈が適切です。テレビが全世代に対してリーチするマスメディアとしての機能は確かに弱まりつつあります。しかし、高齢者層という特定のセグメントに対しては、依然として他のメディアでは代替困難な到達力と信頼性を保持しているのです。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2035年には65歳以上人口の割合(高齢化率)が32.3%に達すると見込まれています。高齢者人口がさらに増加していく日本社会において、この層に対して強力なリーチを持つテレビメディアの価値は、マーケティング戦略上、決して軽視できるものではありません。
データで見る高齢者のテレビ視聴行動|パナソニック調査から読み解く実態
前述のパナソニック調査は、高齢者のテレビ視聴行動をより詳細に把握するためのデータを提供しています。インフォマーシャルのCM枠の価値を評価するうえで、ターゲットである高齢者が「どれだけの時間テレビを見ているのか」「どのような目的と番組ジャンルで視聴しているのか」を定量的に理解しておくことは不可欠です。
視聴時間|半数以上が1日3時間以上、約1割が7時間以上
1日のテレビ視聴時間
「3時間以上〜5時間未満」「5時間以上〜7時間未満」「7時間以上」を合わせると53.1%となり、高齢者の半数以上が1日3時間以上テレビを視聴していることが明らかになりました。
「7時間以上」と回答した人も9.4%と約1割に上り、長時間にわたってテレビの前にいる高齢者が一定数存在することがわかります。
地域別では、1日「5時間以上」テレビを視聴する人の割合が関東圏平均21.5%に対し、関西圏平均は24.4%と約3ポイント高く、地域によってテレビ視聴の生活への組み込まれ方に差があることも示されました。
視聴目的と番組ジャンル|情報収集と娯楽の両軸で機能
よく視聴するテレビ番組のジャンル
「ニュース・天気予報」が94.5%と圧倒的な結果でした。
ニュース以外のジャンルでは地域による差異が見られ、「スポーツ中継」は関東圏平均51.5%に対し関西圏平均49.5%、「歌番組・音楽番組」は関東圏平均16.3%に対し関西圏平均20.2%と、娯楽として視聴する番組には地域色が表れています。
ニュースや天気予報といった生活情報の収集を起点としてテレビの前に座る高齢者は、その前後の時間帯にもテレビをつけたまま視聴を続ける傾向が強いと推察されます。この「ながら視聴」「続き視聴」の行動パターンは、ニュース番組の前後に編成されるCM枠やインフォマーシャル枠にとって、高い視聴接触率を確保するうえで有利に働く要素です。
動画配信サービスの浸透|テレビを「デバイス」として使いこなす高齢者像
同調査では、テレビで動画配信サービスを利用する高齢者のうち、44.9%が「ほぼ毎日視聴している」と回答しています。視聴ジャンルは「映画」が55.7%で最多、「国内ドラマ」34.7%、「海外ドラマ」32.8%と続いています。
この結果は、高齢者がテレビを単に地上波放送を受信する装置としてだけでなく、動画配信サービスを含む映像コンテンツを楽しむための「デバイス」として活用し始めていることを示しています。地上波のテレビ番組が情報収集と日常のルーティンを支える一方で、動画配信サービスは映画やドラマを楽しむ日常的な趣味として高齢者の生活に浸透しつつあるのです。
BS・CSチャンネルのインフォマーシャルCM枠が持つ独自の価値
前セクションで見てきた通り、高齢者層のテレビ視聴時間は長く、その視聴態度は情報収集と娯楽の両面で能動的です。こうした高齢者のテレビ視聴行動を踏まえたとき、BS・CSチャンネルのインフォマーシャルCM枠には独自の価値があることが見えてきます。
懐かしいコンテンツが集める高齢者の視聴集中
BS・CS放送のチャンネルでは、地上波では視聴できなくなった過去の名作ドラマ、日本映画、時代劇、演歌や歌謡曲の番組など、高齢者にとって懐かしく親しみのあるコンテンツが豊富に編成されています。こうしたコンテンツは、高齢者の強い嗜好性と結びついているため、特定の番組に対する視聴の集中度が高く、チャンネルを変えずに長時間視聴し続ける傾向が見られます。
この高い視聴集中度は、番組の前後や合間に編成されるCM枠の価値を高めます。視聴者が積極的にその番組を選んで見ているからこそ、CM枠への接触も能動的な視聴態度のなかで行われ、インフォマーシャルの訴求内容が視聴者の意識に届きやすい環境が生まれるのです。
人気番組前後のCM枠が生む高い反響力
BS・CSチャンネルにおいて特に高齢者の人気を集める番組の前後に投下されるインフォマーシャルは、地上波の一般的なCM枠では得られない水準の反響を記録することがあります。これは、前述の視聴集中度の高さに加え、BS・CSチャンネルを視聴している高齢者層が、地上波の幅広い視聴者層と比較して属性の同質性が高いという特性によるものです。
高齢者層が中心の視聴環境に、高齢者をターゲットとした健康食品や化粧品、通販サービスのインフォマーシャルを投下するという構図は、ターゲットと媒体の親和性が極めて高い組み合わせとなります。この親和性の高さが、BS・CSのインフォマーシャルCM枠が広告主に重宝される根本的な理由です。
業界内で語られるエピソード|外部要因による視聴者移動の影響
BS・CSチャンネルのCM枠の価値を裏付けるエピソードとして、業界内で語られている興味深い事例があります。あるCS放送局では、2025年の春頃から突然、午前中のインフォマーシャル枠の広告効果が低下し始め、秋頃までその傾向が続いたといいます。物価上昇による消費行動の変化という一般的な背景に加え、不可解だったのは、人気番組も編成されている午前中の枠だけが顕著な影響を受けたという点でした。それまで「鉄板枠」として安定した反響を記録していた時間帯に何が起きたのか。
社内での検証の結果、たどり着いた結論は「NHK BSで連日編成されていたMLB(メジャーリーグベースボール)中継への視聴者の流出」でした。日本時間の午前中に放送されるMLBの試合には、高齢者層から絶大な支持を集める国民的なスター選手が出場しており、その活躍が注目を集めるほど視聴者がNHK BSに集中するという現象が起きていたのです。
このエピソードは、BS・CSチャンネルの高齢者視聴者が「なんとなくテレビをつけている」のではなく、「見たい番組を選んで能動的に視聴している」ことを逆説的に証明しています。能動的に視聴する層だからこそ、魅力的なコンテンツが別のチャンネルに現れれば視聴者は移動し、その結果がCM枠の反響率に如実に反映されるのです。高齢者をターゲットとしたインフォマーシャルのメディアプランニングにおいては、こうしたコンテンツ編成の動向にも注意を払う必要があることを示唆する事例です。
まとめ|高齢者マーケティングにおけるテレビの不可欠性とBS・CS枠の戦略的活用
テレビは若年層の離反が進む一方で、高齢者層からの支持は依然として強固であり、65歳以上の7割超が「毎日の生活に欠かせない存在」と位置づけています。半数以上が1日3時間以上視聴し、情報収集と娯楽の両面で生活の中核を担っているテレビは、高齢者をターゲットとするマーケティング施策において、他のメディアでは代替が困難な到達力を持つ広告チャネルです。
特にBS・CSチャンネルは、高齢者の嗜好に合致した懐かしいコンテンツを豊富に編成しており、人気番組の前後に投下されるインフォマーシャルCM枠は、ターゲットとの高い親和性に基づいた反響力を発揮します。高齢化率が今後さらに上昇する日本社会において、このBS・CS枠の戦略的な活用は、高齢者マーケティングの費用対効果を高めるうえで欠かせない選択肢となるでしょう。
次回のコラムでは、このCM枠で放映するインフォマーシャルの「クリエイティブ(映像素材)」に焦点を当て、視聴者の購買行動を引き出すための制作戦略を解説します。
インフォマーシャルのメディアプランニングや、BS・CS枠への出稿に関するご相談
テレビメディアを活用したインフォマーシャルのメディアプランニングや、BS・CS枠への出稿に関するご相談は、東通メディアにお任せください。
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株式会社東通メディア マーケティング担当草野
入社後、印刷物・Web・TVCMなど、各種メディア業務を担当。
幅広い知識を活かし、メディア部門を支える存在として業務に取り組んでいます。
好きなものは、野球(ファン歴42年)、そば(訪問件数833店舗)。
猫2匹(チャトラとクゥー / 11歳)、トカゲ(米ゾウ / 10歳)を飼っている。